新型コロナウイルスの蔓延で、世界の経済には大きなダメージがありました。中でも、これまで追い風が吹いていた観光業のダメージは計り知れません。
日本の観光業もこれまでのオリンピック景気から一変し、先が見えない状況に陥っています。本記事では、中国滞在経験のあるライター・BILLIKENが、今後の観光業の「新しいカタチ」についてまとめています。
先が見えない経済と観光
新型コロナウイルスの世界的流行によって、消費、物流、人の流れなど、大きい変化が起こっています。世界で最初に新型コロナウイルスの感染拡大が起こった中国では、世界に先駆け新型コロナウイルス感染拡大を抑え込み、徐々に社会や人の動きが回復しつつあります。
現在、中国は多くの地域で新型コロナウイルスの新規感染者が減少し、感染防止対策の規制が徐々に緩和されつつあります。しかし、インバウンドがいつ回復するのかは、なかなか予測できない状況です。
中国で見え始めた回復の兆し
中国では、新型コロナウイルスの影響により延期されていた全国人民代表大会(以下、全人代)が5月20日に開催されました。全人代は中国で最も大事な政治イベントのひとつで、新型コロナウイルスの終息に向かって、国内の経済活動が徐々に正常化してることを示す指標となりました。
同時に、これまで大打撃を受けてきた中国の観光業界は順調に回復の兆しが見えて来ました。
オンラインが観光業回復の突破口に
中国の経済の回復と共に、中国の観光業はどのような打開策を講じているのでしょうか?それは、前回紹介したオンライン社会が突破口になっているのです。現在の中国の観光業界では、ライブ配信観光やオンライン観光といった、オンラインサービスを打ち出しています。なかでもオンラインのクラウド旅行が本格始動し、自粛や制限などで自由に旅行できない人たちに、バーチャルで旅行体験を提供してます。
さらに、世界的にヒットしているそしてショート動画共有アプリ「TikTok」では、中国のゴールデンウィーク期間中にクラウド旅行関連の動画の閲覧数が4.7億回超えたと発表がありました。クラウド旅行のライブ配信には、国内外の観光業界各社次々参入してきており、人気旅行メディアの「馬蜂窝」は旅行会社やホテル等と連携して、連休中におよそ1500回ものライブ配信を行い、世界4000カ所以上の観光地の紹介を配信しました。これが大ヒットし、視聴者数も激増。海外からの注目度も高く、ドイツ観光局やニュージーランド政府観光局のライブ配信も大人気だったようです。
ライブ配信文化が新しい観光のカタチを生み出す
中国は数年前からライブ配信が人気で、EC業界においてライブコマースが占める割合が高くなっています。観光業界も例外ではありません。近年では、ライブ配信の内容をそのまま体感できるパッケージツアーやホテル割引券など、バーチャルだった世界を直接販売するライブコマースが注目されています。
そんな中、今回の自粛期間中の「オンライン観光」は、まさに観光業におけるライブコマースの拡充に一役買ったことになります。この度の自粛中における「旅行のライブ配信」は、フォロワーの育成になり、新型コロナウイルス終息後の旅行需要増加に大きな貢献があると考えられます。
アフターコロナの需要への種まきが大事
中国の観光業は、オンラインとライブコマースの登場によって、一縷の希望の光が見え始まました。新型コロナウイルスの蔓延が、奇しくも中国の観光業の「新しいカタチ」を作り出すきっかけとなったのです。
日本の観光業も、オンラインがを駆使したライブコマースを摂り入れて、世界に旅行の「種まき」をしていくことが、アフターコロナの打開策のカギになってくるのではないでしょうか?
執筆:BILLIKEN
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