【コラム】中国の原料不足と北京冬季オリンピックの関係

昨今、世界中で燃料などの原料不足が騒がれています。聞くところによると、中国のサプライ(供給)は、今かつてないほど脆弱化している状況なのだそうです。

この記事では、中国滞在経験のあるライター・BILLIKENが、中国の資源と北京冬季オリンピックについて考察しました。

危機に瀕している中国のサプライ

中国のサプライの脆弱化の主要な原因は電力供給不安です。資源(主に石炭)の制約は、世界の工場として君臨する中国に大きな影響を与えました。これは、10年前の中国では全く考えられない出来事だったのではないでしょうか?石炭輸入に課題が生じているのは、やはり地政学的に中国リスクが上昇しているためであると考えられます。中国は、新型コロナウイルス起源に関する調査を要求したオーストラリア政府への反発から、オーストラリア産石炭の輸入を非公式に禁止。その結果、2020年1~6月に5,588万トンであった豪州からの輸入量は2021年1~6月にゼロとなりました。これにより、中国が大きな石炭不足になり、電力不足に陥ったのです。

この電力不足によって打撃を受けている原料の一つ金属シリコンです。金属シリコンは、シリコンを有する種々資材の元原料であり、太陽光パネル、半導体、医薬品等多くの製品に使用されています。これらは、北京冬季オリンピックにも大きく影響しています。なんといっても、今回の北京冬季オリンピックは、国家肝煎りの「エコ電力オリンピック」となる予定であるからです。

北京冬季オリンピックこそが正念場

 

2019年1月30日から、北京冬季オリンピック会場ではエコ電力の消費が正式に始動しています。現在まで、北京冬季オリンピック会場では、「エコ電力」によって標準石炭換算で10万トン削減、二酸化炭素排出は25万トン削減を達成したのだそう。

北京冬季オリンピックにおけるクリーン電力運用は、中国のクリーンエネルギー開発利用にブレイクスルーをもたらすと考えられていました。しかし、現状では、電力が足りていないため、「エコ電力」である太陽光発電が困難になっているという事態に…。それに加えて、北京冬季オリンピックに海外から変異ウイルスが流入することも懸念されています。中国は新型コロナウイルスを早期に抑え込み、その後も時々クラスターが発生するものの、ほぼ収束に向かっている状態にあります。しかし、世界は依然として新型コロナウイルスが猛威を振るっており、新たな変異ウイルスが次から次へと発生している状況にあります。

もし、こうしたウイルスが中国国内で猛威を振るった場合、中国のサプライチェーンはさらなる危機にさらされるのではないかと危惧する声も多いです。世界の工場と言われている中国ですが、北京冬季オリンピックは、ひとつの正念場だと言わざるを得ないでしょう。

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執筆:BILLIKEN

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