中国で進んでいるテクノロジーと介護の融合。しかし、介護市場はロボティクスだけではクリアできない領域が非常に多く存在します。
この記事では、中国の介護市場の未来と、日本の関係性について、中国滞在経験のあるライター・BILLIKENが解説します。
介護事業が慢性的に悩む人材不足
中国は少子高齢化を迎え、介護の時代が始まりました。しかし、介護市場は一筋縄では行かない状況です。これは、介護市場としてトップランナーである日本においても、非常に大きな課題を抱える分野でもあります。
まず、大きな課題は人材の確保です。日本でも、東南アジアを中心に人材を確保する活動を行っていますが、言葉や文化の違いから、「地域に人材が根付くかどうか?」「実際に業務に支障がないコミュニケーションができるか?」など、大きな課題が噴出しています。何より、こうした制度が不法滞在の温床になったり、犯罪の可能性を高めたりといったマイナスの印象が強く、人材確保に対してもネガティブな感情を持ってしまうことが一番の課題ではないでしょうか?
中国は、日本以上の規模でこうした問題を解決していかなければなりません。そのためには、どういったことが重要となるのでしょうか?
中国の介護問題としてまず挙げられるのが、介護に従事する人材の不足です。これは日本と同様でしょう。さらに中国は、海外からの人材を受け入れることに大きな抵抗がある傾向にあります。そのため、中国においては、ビジネスライクな介護が重要ではないかと考えています。
介護はもっとビジネスライクに
例えば、人材。日本は介護市場の人材の給与水準が低いことが課題になっています。もちろん、介護という仕事の責任の重さ、クリエイティブの有無なども考慮すべきですが、ビジネスライクに大変な仕事に人材にも「投資」が必要だということを中国政府が認識することが重要ではないでしょうか?ただの人材育成だけではなく、今後のビジネスとして投資価値を生み出す考えを国を挙げて共有できれば、日本とは違う傾向が生まれるのではないかと考えます。
施設の運営、介護用品の開発製造販売、リース事業のモデル構築といった部分は、日本と同じく大きなBtoB事業となるでしょう。そして、肝心の現場を支える人材の不足も、日本と同様の課題も見えてきます。ただ、中国に関して莫大な人口を抱えていることもあり、来るべく介護市場の拡大に向けて、政府としてイメージ戦略なども含めて備えておくことが重要だと考えます。
日本企業としては、こうした人材育成において可能性を感じます。一足早く高齢化社会を迎えた日本は、介護の”先輩”として、中国にレクチャーし、国内人材の育成に力を注ぐ展開が期待されています。介護人材の未来を明るくすることで、子ども達に将来の希望を見出してもらえれば、少子高齢化社会であっても明るい兆しが見えるのではないでしょうか?
介護事業が、中国のインフラを支える基盤の事業として成長すれば、これから少子高齢化が進むあらゆる国でも同様のビジネスが展開できるでしょう。そのためには、中国や日本は政府を挙げて、介護市場に注力する動きが必要となると考えています。