【コラム】台湾映画祭での騒動から見る中国人の言葉の裏の裏

以前、とある番組で日中ハーフの女優が、「中国人の性格は前向きのKYである」と話していました。中国人は周りの空気を読まずに、感情をストレートに言葉にしますが、あくまでポジティブな意味でということだそうです。それはいったいどのような事なのでしょうか?


この記事では、中国滞在経験のあるライターのBILLIKENが、スピーチを発端に中華圏で起きたある騒動について紹介します。

中国のコミュニケーションは基本「ストレート」

中国人のコミュニケーションは、日本人のように「自分がこういえば相手はこう受け取る」と、相手の反応あらかじめ想定したうえで言葉選ぶようなことは、ほぼありません。中国人は、自分の意思を相手に遠慮せずに、ストレートに伝えます。

それは、決してKYだからではなく、そうしないと相手の中国人伝わらないからです。しかし、政治的に敏感な問題の話題となれば話は別です。ここでは、映画コンクールで問題となった、ある政治的発言について紹介します。

台湾の映画祭でのスピーチが政治的騒動に発展

騒動は、台湾の映画コンクールの金馬賞で授賞式で起こりました。この映画の祭典は1962年に創設された歴史あるコンクールで、90年代後半からは中国本土からも映画の出品が可能になり、その後、中華圏代表する映画祭となりました。受賞式の際には中華圏一帯から俳優や映画監督が参加。同じく出席した中国の著名映画監督のチャン・イーモウは、「これだけ多くの若い映画監督の作品が集まることは、中国映画の希望であり、未来を代表している」と言うほどでした。

そんな中、ドキュメンタリー賞受賞した台湾人の女性監督のスピーチが物議を醸します。彼女は、「私たちの国(台湾)が、真に独立した存在としてみなされるのが、台湾人としての最大の願いです」と発言。会場からは拍手が挙がりましたが、この発言に中国本土の参加は反発の声が上がりました。

中国からの反撃はあえて遠回しな表現で

中国から参加したベテラン俳優の涂們は、「中国台湾の金馬賞にプレゼンターとして来られたのは光栄。おなじみの顔ぶれや、新たな友人とも知り合い、中台両岸が1つの家族であると感じた」と中国台湾を強調した発言をしました。

さらに最優秀男優賞受賞した中国人俳優も、「ここは映画人の殿堂で、あらゆる人が家族同様に集まる場所。中国映画のますますの発展を信じる」と発言。更に、同じくプレゼンターとして招待された中国出身女優のコン・リーは壇上に上がるのを拒否。中国本土では授賞式をテレビ中継していましたが、この騒動が起きた途端に中継を中止しました。香港メディアの報道によれば、台湾の文化部長いわく、「台湾はアジアにおいて、とても自由で熱情の国。台湾の金馬賞はあらゆる映画人が作る映画芸術と、創作の自由尊重する国際的な賞。ここは台湾で、中国台湾ではないことを覚えていて欲しい」と発言しました。

政治的な発言はストレートに伝えないのが中国流

映画祭終了後、中国の芸能人や著名人が次々とSNSで「中国はわずかたりともかけてはならない」といったメッセージを発しました。このメッセージは、2016年に南シナ海の領有権問題をめぐる常設仲裁裁判所の訴訟において、中国がフィリピンに敗訴したとき、中国共産主義青年団が出したメッセージです。

このように、中国は政治的な事に関しては非常に敏感です。この騒動は、中国人があえてストレートに言わずに、遠回しに「友人」「家族」と表現することの裏には、さらに強いメッセージを込められているのだと知る出来事となりました。

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執筆:BILLIKEN

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