【コラム】中国の離婚率が増加!経済発展と共に増える「独身貴族」

中国は、1990年代初頭の改革開放政策の発動によって、大幅な経済成長を遂げてきました。そして、2020年代に入った現在も、さらなる経済成長を続けています。しかし、それと同時に中国人の結婚観について大きな変化が起こっています。

今回は、中国滞在経験のあるライターBILLIKENが、中国の婚姻事情について解説します。

中国の離婚率が上昇!その要因とは?

中国は、近年、離婚率が上昇の一途を辿っています。中国統計年鑑によると、1997年の中国人の離婚件数は、人口1000人につき1件でしたが、2016年には離婚件数が人口1000人につき3件に増加しています。ちなみに、日本人の場合は、日本の平成21年度人口動態統計特殊報告によると、戦後もっとも離婚件数が低かったのは1960年の人口1000人につき約0.5件でした。しかし、その後高度経済成長期に入り、さらにバブル経済に突入するとともに離婚件数は増え、もっとも離婚件数が高かったのはバブル崩壊の最悪期であった2003年でした。この年の離婚件数は、人口1000人につき約2.2件。その後は、緩やかな減少傾向を示しています。

中国の離婚件数の推移を見ると、2003年から、人口1000人つき毎年約0.1件ずつ離婚件数が増えていることになります。この要因は、中国の法令が改正されたことが関係しています。2003年までは、中国の婚姻法において、離婚する際には雇用主もしくは居住する地域のやトップによる承認が必要でした。言わば、それにより離婚が抑制されていたのです。

しかし、2003年に婚姻法が改正され、離婚の保証人が不要となった途端、離婚件数が増加の一途を辿ることになりました。

また、別の要因としては、中国には恋人時代に同棲する習慣が無いことも挙げられています。婚姻後に初めて生活を共にした際に、あまりにも価値観が異なることが露呈し、多くの夫婦が離婚の道を選びます。実際、中国人に話を来てみると、自分も妻も一人っ子として育ち、互いに好きなように生きてきたため、結婚してからは喧嘩が絶えなかったそう。その結果、ついに妻側から離婚を切り出され、離婚したそうです。

また、近年は自立した女性が多く、高学歴でキャリアを詰んている女性は、一人でも十分に生きていける背景があります。そのため、昨今は、女性から離婚を切り出すケースが多いようです。

このような離婚件数の増加を、中国政府はどのように思っているのでしょうか?中国政府は、こうした現状に以下のような対策を講じています。

空回りする政府の離婚対策と独身貴族の増加

まず、政府は中国民法を改正し、2021年1月1日からは、離婚を決断した夫婦の場合、30日間の冷却期間を設けることが義務付けられました。夫婦で役所に離婚証を提出した後、30日間の冷却期間を置くことになるため、衝動的に離婚が不可能となりました。30日経過した後は、夫婦のいずれかが役所に改めて離婚証を提出しなければ、離婚は承認されません。しかし、この法令改正については、中国の若者や若い夫婦から多数の反対の声があがっているようです。

中国人の若者たちは「自由に離婚ができないなら、最初から結婚をしないほうが良い」と考えているようです。そのため、今後は中国経済の成長と比例して、独身貴族が増加するのではないかと言われています。

独身貴族は子育てはもちろん、派手な結婚式を挙げる費用も必要ありません。そのため、資金に余裕のある、まさに独身貴族が多くなるでしょう。これからの中国は、結婚ではなく、自分を大事にする独身貴族が経済の中心になるかもしれません。

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執筆:BILLIKEN

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