【コラム】観光業から自転車販売へ――大胆な転身が成功の鍵を握る?

2019年から未だ続くコロナ禍――そのあおりを受けて不況に陥っている業種と言えば、真っ先に観光業が挙げられるでしょう。

この記事では、不況のあおりを受けて観光業から大きな転身をしたとある企業について、中国滞在経験のあるライターBILLIKENが紹介します。

観光業から自転車販売へ

2019年の年末から、今日まで猛威をふるい続ける新型コロナウイルス。観光業への打撃は大きく、帝国データバンクの集計によると、年間に200件以上の観光業の倒産が確認されています。そんな中、大阪市で観光バス業を営んでいた株式会社大寅は、大胆な経営の転換で、ピンチをチャンスに変えました。大寅の社長である中国籍の大野創世氏は、これを好機と、メイン事業の観光業を無期限で停止。021年4月から、コロナ禍の日本で移動手段として需要が高まった電動アシスト自転車を中国から輸入する事業を始めることにしました。

日本での電動アシスト自転車の販売数は、2020年にそれまでの年の2倍近くになっています。これは、都道府県をまたぐ移動が自粛される中、近所までの手軽な移動手段として購入する人が増えたことによります。これに目を付けたのが、先の大寅です。大寅では、まず中国の有名なe-bikeを製造しているメーカー・Samewayグループと提携し、日本国内の正規代理店となりました。e-bikeはスポーツタイプの電動アシスト自転車のことで、これまでも日本で見かけることはありましたが、あくまで個人輸入されもので、中には日本の法律に違反している仕様の自転車もありました。中国とは道路交通法が違うことから、そのままの仕様では公道で乗ることができず、独自に改造を行ったり、ひどい場合は違法のまま転売されたりしていました。一方、大寅が正規に輸入するe-bikeは、中国からの出荷される段階で、全て日本向けの仕様となっているため、そうした問題はありません。また、自転車の変速機は、日本のメーカー「シマノ」のパーツが採用されており、日本産のパーツが中国で組み立てられ、再び日本に帰ってくるという“里帰り”も果たしています。

新たなニーズがコロナ禍の不況を打開

日本での電動アシスト自転車のシェアは、ブリヂストン、ヤマハ、パナソニックという3つのメーカーのものが大多数を占めていますが、大寅がそこに割って入る形で、新たな勢力として参戦。大寅では、並行して中国仕様の電動アシスト自転車輸入も行っており、公道は走れませんが、工場などの大きな敷地内での移動手段のひとつとして一役買っているのだそう。このような自転車は、日本のメーカーでは手に入らないことから、日本企業の間でも需要が徐々に高まっているようです。

大寅のe-bikeは、現在では主に通信販売での展開のみですが、2022年以降は日本の自転車店での販売も予定されています。電動アシスト自転車は、コロナ禍の日本の交通手段となるだけでなく、日本の部品メーカーと共に、コロナ禍の不況に立ち向かう両国の経済交流のひとつだと言えるでしょう。思い切った方向転換が、不景気の打開する起爆剤になることを願ってやみません。

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執筆:BILLIKEN

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