【コラム】活気あふれる街・上海で起業を試みたけど・・・

中国と日本は地図上では隣にあると言ってもいいぐらい近い国。しかし文化は大きく違います。中国滞在経験のあるライターのBILLIKENが、日本と中国の相違点についてお伝えしていきます。今回は上海での起業を試みたKさんの失敗談をご紹介。

魅力ある街・上海

BILLIKEN(以下BI)「よろしくお願いします。早速ですが、Kさんは、敢えて上海を選んだのですね?」

K「よろしくお願いします。はい、中国国内でも、上海は外国人も多く活気にあふれている洗練された都市。付近の省からは出稼ぎの労働者も多くいるため、実際の人口は大きく膨れ上がり、人口が一極集中してしまうため、政府も対策に必死です。理由の一つは不動産。人口が増加し不動産の価値が吊り上がったことで、投資資金が流入し、価値が急騰していくからです。」

BI「しかし、そんな上海での商売に魅せられて移動してくる日本人も山のようにいたと。」

仕事ビザの取得に向けて

K「もちろんです。お金の余裕があれば上海は大都市ですし交通も整っていますから非常に住みやすいという側面もあります。しかし上海に合法的に長期滞在して仕事をするには仕事ビザ(Zビザ)を取るしか方法がありません。つまりちょっと余裕があるため上海でリラックスした生活を長期で送る、というのは仕事ビザをとる=出勤して仕事をすることになります。これを解決する方法が自分で起業して社長になりビザを取る、という方法です。これですと社長ですから出勤の必要はありませんし、ビザも合法です。」

BI「Zビザ。いわゆる中国就労ビザですね。」

会社買取に向けて


K「しかし企業には保証金などさまざまな初期費用がかかりますし、政府へ提出する書類をそろえるなどかなり手間です。これを代行してあげるという中国人の代行業者があります。そして実際の起業方法はいろいろありますがそのうちの一つがすでにある会社を買取する、という方法です。これはすでに誰かが作っている会社ですでに存在していますから名義変更のみで自分の会社になりビザも取れる、という一見簡単に見える方法となります。これを代行業者に依頼したことがあるのですが、いくつか注意点があります。」

BI「そうなんですね。それはどのような注意点ですか?」

K「まず企業を買取するということは当然売ってくれる会社がなければなりません。これがなければ、そういう会社が出てくるまでひたすら待つことになり、その間どうやって上海に居続けるのかを考える必要があります。そしてこの方法は中国人の株主が2人必要になる場合があります。つまり上海に行ったばかりであればそんな株主になってくれる人がいない可能性があり、いなければ手詰まりになります。知り合いのツテでお金を払って頼むのも手ですが、その人が信頼できなければそもそも意味がありません。そして事務所をどこに置くのかの問題も出ます。法律上は事務所にできる物件は通常の住宅とは別に決められていますので地区によっては審査が非常に厳しく、通常住む家以外に事務所を借りなければなりません。」

結局挫折

K「こういった問題は一つ一つ解決していかなければならないため起業までにかなり時間がかかることがあり、その間ハラハラして申請結果を待つことになります。通常、起業は商売をするためにしますからその場合は中国人も雇ってると思いますし事務所もあって当然ですので問題はないでしょう。しかし上海で合法的に長くいて、リラックスして暮らすための起業であれば一見簡単に見えるこの方法は魅力的に見えるかもしれませんが会社の買取に時間がかかりすぎて失敗してしまいました。」

続く。

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執筆:BILLIKEN

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