日本は、世界的に見ても早期より少子高齢化が進んでいます。それに伴い、医療市場も社会の変化に合わせて進化しているとも言えるでしょう。
この記事では、中国滞在経験のあるライターBILLIKENが、本格的な少子高齢化を迎える中国と、それを見据えた医療市場についての日本の立ち位置について考察しています。
注目される日本の高度医療
少子高齢化問題は日本だけではありません。2040年には、中国も少子高齢化社会となることが統計上判明しています。一足先に少子高齢化社会に突入している日本としては、これは大きなビジネスチャンスだと言えるでしょう。近年、中国では「医療ツーリズム」がよく聞かれています。これは、病気やケガなどの治療を、高度な医療を提供する日本で受けることを目的としたツーリズム(観光要素を含む旅行)のことで、高所得層で人気を集めています。新型コロナウイルスの蔓延で、国同士の行き来が停滞していますが、正常に戻ればこうした動きも活性化することでしょう。日本としては、個人の医療ツーリズムだけでなく、今後は法人や自治体など、大きな単位の受け入れなども検討すると、より大きなビジネスチャンスになるのではないでしょうか?
また、日本での医療ツーリズムだけでも大きなビジネスになりますが、こうした動きは日本の医療機器メーカーにとってもチャンスです。企業は、高所得層をターゲットにした医療機関や病院などを対象にビジネスを展開できれば、さらに大きな市場でのビジネスが期待できます。と言うのも、中国の医療機器などのビジネスは、一般的に売り切りでスタイルが多くあるのが現状です。クオリティーやメンテナンスが必要とされる医療市場においては、こうした点は日本の方が先進的だと言えます。定期的なメンテナンス、瑕疵担保期間を重要視すべき医療市場においては、日本の医療機器メーカーの方が一歩先を行っているため、十分に市場に参入する余地があることでしょう。
高度医療から医療機器へ
一般的に医療機器は、一度納入すれば、無料メンテナンス期間、瑕疵担保期間を経て、買い替えを迎えます。その後はルーティーンのように同じ医療機器メーカーから購入するビジネスサイクルが構築されます。すでに中国国内ではこうしたネットワークが構築されていますが、高齢化に伴い、新たなニーズも現れることでしょう。人と人とが触れ合い、医療機器を活用し高齢者と接する介護ビジネスは、中国ではまだ始まったばかりです。中国では、これから高齢者の比率が高くなるため、今後は日本の医療機器メーカーにもチャンスが回ってくるかもしれません。
その兆候として、今の中国の健康ビジネス市場において日本のメーカーはすでに高い信頼性を得ています。そのため、医療や医療機器についても、高齢者の信頼を得るのは比較的容易であると言えるでしょう。特に、繊細な動きが求められる医療機器については、サービスがきめ細かい日本製の機器を医療機関が求めることが想定されます。
これからの高齢化社会に向けて、日本政府は中国政府に働きかけ、日本の医療機器や介護サービスのノウハウを広げる活動を行うことができれば、より大きな市場でのビジネスチャンスが生まれます。また、これにより、起業利益だけではなく、中国の高齢者の健康にも貢献することができ、日中関係をより友好にすることにもつながることでしょう。
執筆:BILLIKEN
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