日本の少子高齢化に伴い、これまで追い風だった医療機器メーカーは苦境に立たされていると言えるでしょう。そこで中国市場への参入を狙う企業が増えていますが、決して順風満帆とはいかないようです。
この記事では、中国滞在経験のあるライターBILLIKENが、日本医療機器メーカーの中国市場進出について、傾向と対策を考察しています。
中国市場進出は一筋縄ではいかない
日本の医療機器メーカーの中国市場への進出は、もはや不可欠だと言っても過言ではありません。なぜなら、医療機器の日本国内での売り上げはほぼ横ばいで、これからも成長が見込めないからです。また、日本はさらに人口減少が加速し、国内での売り上げがさらに低下する恐れもあります。そのため、企業が生き残るためには、海外の市場への参入が必須となってくるのです。
なかでも中国は、日本の隣の国ということもあり、地理的にも近く、比較的市場参入しやすい地域です。これまでも、日本メーカーは、中国市場に参入することで売上を伸ばしてきました。しかし、今後の中国の市場で売上を伸ばすのはそれほど簡単でなくなってきています。
その原因として挙げられるのが、中国の少子化と、技術の発達です。中国の医療機器メーカーの製品の性能の向上は著しく、日本の医療機器と比べても性能の差がほとんどありません。今後、その差はさらに小さくなるどころか、コスト面でも技術面でも中国の方が優位になることもあるでしょう。そうなると、日本の医療機器メーカーは中国市場から撤退せざる得ません。
さらに、近年は欧米の医療機器メーカーも中国市場に積極的に参入しています。そのため、これからの日本の医療機器メーカーはより厳しい立場に置かれることになるでしょう。そうした問題点を解決するためには、今までのように一般的な医療機器の開発を進めるのではなく、日本にしかできない分野への挑戦が必要になります。擬態的には、ライバルがいない分野における医療機器を開発することにより、他の企業に差をつけることができます。また、それにより、中国市場だけでなく世界市場でも戦うことができます。さらに、他の企業と差別化を図ることで、ライバルを減らし、コスト面での戦略も不要になるでしょう。
しかし、これには問題点もあります。まずは開発資金が大きなボトルネックになることでしょう。場合によっては、日本政府の協力も必要になるのではないでしょうか?
市場参入成功のカギは「政府」?
日本企業単体で中国市場に挑むことは、決して不可能ではありません。しかし、生産性を高め、持続的な発展を遂げるためには、日本の政府と企業が連携をしながら市場開拓を行うことが、これからの日本の医療機器メーカーの流れのひとつになるのではないでしょうか?
さらに、中国市場において忘れてはならないのは商標や特許などの登録のスピード感です。たとえ性能の良い医療機器を開発したとしても、その製品が実際に中国市場で発売されるまでにはかなりの時間を要します。その間に、中国国内で良い商品が製造販売された場合、中国市場での参入は絶望的になるでしょう。日本国外での市場を狙うには、商品を発表してから消費者に浸透するまで時間がかかるため、そこから逆算しながら、各種登録や認証を行いましょう。そのためには、企業だけでなく、日本製との連携が必要不可欠になるのです。
執筆:BILLIKEN
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