中国と日本は地図上では隣にあると言ってもいいぐらい近い国。しかし文化は大きく違います。中国滞在経験のあるライターのBILLIKENが、日本と中国の相違点についてお伝えしていきます。今回は北京でIT会社に勤めるSさんの失敗談をご紹介。
日本では些細なことが
中国ビジネスで失敗したと聞く場合、結局のところ中国の政治事情に慌てふためいたということが往々にしてあります。言い換えると、「日本企業側としては気にする必要もないような些細なことが、中国ではビジネスを突き動かす」大きな要因として捉えられることがあるのです。
問題は周辺の方々
日本においても中国に於いても、企業への口出しや公務との兼任は禁じられています。そしてもちろん中国の政治事情としても公務員汚職に関しては厳しく、それは当然のごとく規制されています。問題はその政治関連者の周辺の方々。これは、元公務員という立場の人も該当とされ、日本なら、一般人と変わらない扱いで良いのですが、実際はその口利きの度合いによって、中国企業の動きに影響を与えることがあるのです。
このため、日本企業との連携で、中国企業との大きなシナジー効果が期待されるという話をしても、最後の最後に契約破棄となり、すべてが霧の中に消えていくといったことも珍しくはありません。
政治体制の中での合理性
中国の政治関連者の誘致ということで、中国企業が内部斡旋を繰り返していたら、中国企業の長期経営も難しいのではないかとされるのが一般的ですが、中国の考え方では、仕事がなくなれば次の仕事を見つければいいという合理性を働かせることが多いような気がします。つまりは、会社なんて移動先を見つければいいという考え方か多く、そのため、なかなか仕事として成立しないのです。
結局は企業を統率したいという思惑
この慣習はおかしいと言ってしまえばそれまでなのですが、実際は中国の政治の側から、民間の意のままにさせないというムーヴメントが働くことも一部あり、中国企業の流れを統率したいとの思惑は、中国の有識者の中では蔓延っていると思います。ですが、こんな推測もネット検閲のおかげて漏れることはないと言われています。
結論から言いますと、中国企業と連携を図る際には、最長で一年程度の短いスパンで物事を進めていかなくてはなりません。中国に工場を建てるのであれば、日本側が、土地の買収を行い用意しお膳立てを進めておく必要があるのです。但し、土地買収の手続きを終えても、さらにまた中国政治の関連者との接触が必要だということとなります。日本側からすると汚職のようにも見えますが、中国側にとっては中国の政治の統制を効かせたいという思惑絡みとなり、結局のところ政治関連者がおいしい話を「握っている」ということになるのです。
執筆:BILLIKEN
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