中国には多くの日本人が生活しています。中でも北京、上海、大連などは日系企業も多く、日本人の数も非常に多く、日本人コミュニティが確立されています。日本人の多くいる都市で見かけるのが、日本人向けのフリーペーパーです。その内容は非常に多岐にわたり、北京や上海では数種類のフリーペーパーが発行されています。
今回は、中国で5年間日本人向けフリーペーパーの編集を行っていたライター・さんせんが、内容や活用方法について紹介します。
日本人向けフリーペーパーの内容とは?
日本人向けフリーペーパーは全て日本語で書かれています。形態は、雑誌や新聞といった形で発行されており、雑誌は基本的には月に1回、新聞は週に1回の感覚で発行されています。各媒体ごとにターゲットが異なっており、駐在員向け、現地採用向け、駐在員妻向け、留学生向けなどさまざまな種類があります。それでは、各ターゲットに向けた内容について解説していきましょう。
まず、駐在員や現地採用向けのフリーペーパーの内容を紹介していきます。内容はビジネス系雑誌のような内容です。中国に進出している日系企業の総経理(執行役員、社長)のインタビューや対談などは経営理念や企業努力などを読み知ることができます。また、中国経済雑誌の主要トピックスの紹介や国際弁護士のコラムなど、中国のビジネスに役立つ内容が盛りだくさんです。日系企業や日本人向けのサービスを行っている企業の新商品や新サービスリリース情報、さらには現地の日本人求人情報なども読むことができます。
次に駐在員妻向けの内容ですが、グルメ情報やマッサージやエステサロン、美容院などの情報がメインです。また、習い事や中国でも買える日本製品の情報、さらにはクーポンなど、生活に密着した内容になっています。雑誌や新聞では毎月さまざまな特集が組まれ、スイーツ特集や雑貨の特集など読んでいるだけで楽しくなる内容ばかりです。
学生向けのフリーペーパーは、中国に留学している日本人留学生が企画から編集まで行っています。内容は留学生へのインタビューや各学校での催し、おすすめローカルグルメなど多岐にわたっています。
どのフリーペーパーも中国の日本人界隈で旬な情報を掲載しています。また、最近ではWe Chat(微信)などのSNSを活用したフリーペーパーもあり、より新鮮な情報が手に入るようになりました。中国での日本人コミュニティのトレンドや日系ビジネスの潮流などの情報が凝縮されているフリーペーパーは、今や中国在住の日本人には欠かせない存在になっています。
日本人向けフリーペーパーの収入源とは?
中国の日本人向けフリーペーパーは豊富な内容とこだわりの特集が組まれた雑誌のような作りになっています。それらはすべて無料で配布されているのですが、フリーペーパーの収入源はどのようになっているのでしょうか?
主な収入源は広告収入です。日系企業や日本人を対象にしたビジネスを行っている企業、飲食店、サービスや商品の広告によってフリーペーパーが作られています。商品や企業、サービスを前面に押し出したハード広告や、記事のように書かれたソフト広告など、フリーペーパーの広告営業が企業と一緒に作り上げています。掲載料は各フリーペーパーによって異なりますが、小さな広告の場合は数百元ほどで掲載できます。裏表紙一面や表紙裏などの目立つページの場合は数千元~数万元かかりますが、年間を通して契約すると大きく割引が適応される場合もあります。
最近ではインターネットやアプリでの広告にも力を入れており、ウェブサイトと雑誌が連動している広告もあります。昔に比べ広告や宣伝方法も変化していますが、フリーペーパーもSNSや電子版を発行するなど、時代のニーズに合わせて広告の掲載方法も進化しています。
日本人向けフリーペーパーはどこで入手できる?
日本人向けフリーペーパーは、主に日本人が多く集まる場所や広告主に配布されています。前者の主な例は日本人が住むサービスアパートメントや日系企業が多く入っているオフィスビルのロビー、日系食品を扱うスーパーなどです。後者の主な例は日本料理店や旅行代理店などです。
フリーペーパーの巻末には、その都市の地図が掲載されています。この地図は毎月広告の編集部によってチェックされているのでかなり精巧な地図になっています。中国に旅行や出張で訪れた際にも役立ちますので、ぜひフリーペーパーを見かけたら手に取ってみてください。
フリーペーパーを読んで日本人コミュニティを知ろう!
今回は中国の日本人向けフリーペーパーについて紹介しました。どの冊子や新聞も、こだわりの特集が組まれ、中国にいる日本人の「今」を読むことができます。
ビジネスからカルチャー、生活情報にキャンパスライフまで、中国の日本人向けフリーペーパーから、中国の日本人コミュニティのトレンドを読み解いてみませんか?
執筆:さんせん
【プロフィール】
北京と上海の2都市で日本人向けの広告雑誌の編集者として、約5年間、特集の企画や取材、編集を担当。得意分野はグルメ、トレンド、エンタメ。現在は山梨県在住で、山梨県関係のツーリズム・グルメに関するライティングや取材を中心に活動中。
ツイッター:https://twitter.com/sansen_koshu
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