これまで取材を受けていただいた中国の海岸沿いにある大都市にてスーパーを開業し運営するFさんから、中国内陸部の経済復興について、中国滞在経験のあるライターのBILLIKENに経済復興の可能性について語っていただきました。
背景には拡大する貧富の格差
「私は日本国内に本社がある食品スーパーの企業に勤務しています。私の会社は5年前に、中国におけるスーパー展開を決断し、現在は複数の店舗展開をおこなっています。最近の中国国内のビジネス状況をみると、日本企業にとっては、今まさに中国国内へ進出する好機といえると思います。具体的な理由としては、中国国内の貧富の格差が改善することなくむしろ大きくなっているためです。」
高所得層の多い沿岸部
Fさんは続けます。
「上海や深圳などの沿岸部の住民は高所得層が多く、高層マンションを購入することが可能であり、高級車を乗り回しています。また、日本へ旅行にやってきて、化粧品などを購入したり、日本の温泉などを楽しんでいます。
私が勤務している食品スーパーが出店している地域も、中国の沿岸部です。その理由は、沿岸部の住民であれば、購買力が十分備わっており、頻繁に買い物に来てもらうことができると計算したためです。実際に、現在は損益分岐点を超えた売上高を計上しており、出店した店舗は黒字経営をおこなうことができています。
そして、中国の沿岸部へは内陸部からの若者の流入が続いており、沿岸部の経済発展は継続していくものと予想できます。つまり、沿岸部に追加でスーパーを出店できる余地は大きいと判断しています。」
経済格差がすでに4倍に
「一方中国政府は、今後は内陸部についても経済振興を図っていく方針と伝えられています。内陸部の住民たちの多くは、現在も貧しい生活を送っており、高層マンションで生活するどころか、普通の戸建て住宅で生活することさえ困難な人々がいます。中国の北京大学が沿岸部の住民と内陸部の住民との貧富の格差を調査したところ、経済格差がすでに4倍に達しているとの結果が発表されました。
そのような状況下、中国政府が地方都市や農村に対して、内需振興策を打ち出すことは確実ですし、すでに金融政策面では政策を発動しています。具体的には、中国の人民銀行が預金準備率を引き下げました。そして、中国政府が銀行に対して企業に対する融資枠を拡大させることを指示したのです。金融緩和を実行して、お金の流通を急いでいる状況です。」
国策として経済振興を急ぐ内陸部に注目
BI「つまり、ゆったりしている余裕はないということですか?」
「中国の国家統治は、中国共産党政権がすべてを管理するという方式をとっていますから、銀行が企業に対して積極融資を実行しなければ、銀行の幹部や銀行そのものが処罰や行政処分の対象となってしまいます。このため、現在、企業に対して積極的な融資が実行されています。実際、内陸部の地方都市においても高層マンションや工場などが次々と建設されており、いずれ地方都市や農村の住民たちも所得が増加していくと考えられます。
「国策に逆らうな」という言葉がありますが、中国国内においては、沿岸部だけではなく、今後は内陸部におけるビジネスチャンスも目の前に広がっていると考えます。」
BI「ありがとうございました。」
執筆:BILLIKEN
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