【コラム】アメリカ新政権から見る!対中姿勢と米中貿易の未来

アメリカ大統領選挙では民主党が勝利し、バイデン新大統領が誕生しました。アメリカ大統領は中国貿易に大きな影響力を持っています。バイデン大統領の方針次第では、対中貿易は大きく変化する可能性もあるため、その動向に世界中から注目が集まっています。

この記事では、今後の米中貿易について、中国滞在経験のあるライターBILLIKENが考察しています。

バイデン政権下でも依然厳しい対中関係

ドナルド・トランプが政権運営をしていた4年の間、対中貿易は、これまでにないほど厳しい局面を迎えていました。米国の中流層復活を掲げるトランプ政権は、中国に生産拠点を移す国内企業に対し、「雇用を失わせる行為」として強く批判。国内産業保護のため、対中貿易への追加関税と国内企業誘致を積極的に推し進めました。

日本貿易産業機構JETOROが発表した統計によると、2018年に米国が対中貿易に対して課した関税は2500億ドル。しかし、トランプ前大統領はさらに総額3250億ドルの追加関税を課しました。関税総額は、同年の中国から米国への輸出総額を上回る金額となり、トランプ政権による厳しい対中貿易姿勢が鮮明に表れた結果になりました。

トランプ政権の終了後、予想ではバイデン政権は親中姿勢を強めつつある民主党の意向を反映する方向で、中国貿易を促進するであろうと考えられていました。そして、貿易促進のため、追加関税の撤廃や、取引禁止品目の見直しなど、対中貿易はトランプ政権以前のように活発になる政策が取られるだろう、と思われていました。しかし、大方の予想に反して、就任直後の演説でも対中制裁の解除について具体的な言及はありませんでした。

安全保障から見るアメリカの対中姿勢

中国とアメリカの関係を考える上でもう一つ重要なのが、安全保障です。特に日本に対して繰り返される中国の領海・領空侵犯は、地域の不安定さを増長させる行為として、トランプ政権から厳しい態度を取られ続けていました。親中姿勢が強いバイデン政権では、安全保障への対応も柔軟な姿勢を見せると思われていましたが、意外なことにバイデン政権も対中国の安全保障に置いては、トランプ政権と同じく厳しい姿勢を崩さない事が判明しました。就任直後の強固な姿勢は、その後多少見直されたものの、大方の予想を裏切り、中国に対してバイデン政権が厳しい態度を崩さないというのは、今後の対中貿易を考える上で重要なポイントとなるでしょう。

バイデン大統領は、オバマ政権で副大統領として中国とも深く関わった事がある経験豊富な政治家です。オバマ政権がかなり親中よりの政権だったことを考えると、バイデン大統領の厳しい対中姿勢には驚きを感じますが、逆に考えると対中経験が豊富だからこそ、厳しい姿勢を崩さないのではないかと推測されます。

中国を囲む貿易包囲網は実行されるのか?今後の動きに注目

中国は、ここ最近、強い振る舞いが目立ちます。東南アジアへの基地建設や、経済援助を通じた実効支配に強い関係構築など、世界中からの非難を物ともせず、自国の影響力の強化に必死です。中にはアメリカの面子を潰すような行動も見られます。これと同様のことを、バイデン大統領はオバマ政権時代にも受けているため、中国への厳しい態度はそこに起因しているとも言われています。また、アメリカの民主党内で強い影響力を持っていた親中勢力も、コロナショック以降は勢いを欠いているのも事実です。

 

自由貿易のルールを独自に解釈し、都合よく利用する中国に対し、バイデン大統領が音頭を取ってEUや南米、アジア諸国やアフリカと連携し、貿易包囲網を築く可能性も起こりえるかもしれません。事実、トランプ政権時代に対中包囲網は完成一歩手前まで進んでおり、コロナショックさえなければ、中国にも自由貿易のルールを徹底させていた可能性もありえたほどです。

現状までのバイデン政権を見れば、当初の予想ほど中国に甘い姿勢を取らないのは確実です。コロナショックで傷ついたアメリカ経済の復旧が責務であることから、バイデン政権がトランプ政権以上に国内産業保護を重視し、厳しい対中政策を打ち出す可能性は十分に考えられます。そうした背景を念頭に置きつつ、今後の米中の貿易に注目していきましょう。

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執筆:BILLIKEN

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