【コラム】電子デバイス業界から見る世界情勢

米中貿易に置ける中国ファーウェイ制裁は記憶に新しいところですが、中国に、そして世界にはどういった影響があるのか知っていますか?

この記事では、中国滞在経験のあるライターBILLIKENが、電子デバイス業界の人にヒアリングした内容を基に、電子デバイス業界における中国やアメリカの今後について考察します。

電子デバイス業界の生産拠点は中国がメイン

日本の電子機器メーカーは地盤沈下が進む中、電子デバイスメーカーの多くはスマートフォンの普及で躍進を遂げています。しかし、日本の工場は新製品の初期対応拠点と位置付けであり、工場のほとんどは世界に生産拠点を置き、そこから製品を供給する体制が構築されています。

世界の生産拠点の中でも、中国は外す事が出来ない最大のウエイトを占める拠点です。世界の工場として、中国内需の電子機器のみならず、欧米や日本、台湾の電子機器メーカーが中国で工場を展開し、中国企業に生産を委託しています。最早、巨大な電子機器需要に対応するためは、中国に拠点を設けなければ成立しない状況になっているのです。こうした流れは、携帯電話やスマホ市場の発展で、より決定的となりました。

こうした背景から、電子デバイスメーカーのほとんどが、中国に大規模な生産拠点を持っています。コストの面からでも、日本国内工場では、世界の価格競争について行くことが出来なくなっているのが現状です。

アメリカのファーウェイ制裁の影響は?

電子機器に関しては、中国のファーウェイの除外が、アメリカを中心に強まりました。こうした政策は、バイデン政権下においても当面は維持される事でしょう。ファーウェイ製のスマホには中国拠点で生産された日本の電子デバイスが大量に使用されています。そのため、ファーウェイのシェアが少なくなり、生産がダウンすれば、日本の企業にも少なからず影響があるでしょう。

しかし、ファーウェイを制裁しても、スマホの世界需要は減少する事はありません。スマホメーカーのシェアが変動するだけで、中国自体大きな打撃を与えることは出来ないでしょう。電子機器メーカーは、何らかの形で中国に依存しなくては成立しません。こうした背景から、ファーウェイだけを制裁しても、中国に取って大きな痛手はあまり無いのが現実でしょう。

中国に生産拠点を置くことのリスク

では、生産拠点を中国に置いている日本企業にはどのようなリスクがあるのでしょうか?中国の政治的な動向から、日本の最大のリスクは尖閣問題でしょう。中国としては、尖閣は台湾の領土であり、台湾は中国の領土であると言うのが前提となっています。従って、尖閣に中国軍が上陸したり、台湾を武力併合しようとする動きは、経済的圧力で済むような話ではなく、極めて大きな政治問題へと発展するリスクを伴います。

これにより、日本の電子デバイスの中国拠点は、予想できないほどの混乱となることは目に見えています。そうしたリスクを抱える中、コロナ禍で脱中国依存が叫ばれています。確かにこうした中国の政治動向リスクを考えれば、それを加速させるべきと言えるでしょう。しかし、今更欧米や日本が、スマホ等の電子機器の生産拠点を自国に戻したり、東南アジアに移す事は、事業規模の点から見ても極めて難しいのです。

中国依存脱却ではなく共存がベター?

電子機器のみならず、世界の製造業では多くの分野で中国依存が進んでおり、簡単に代替案が見出せないのが現状です。中国と日本、台湾、東南アジアやアメリカと小競り合いがエスカレートし、混乱する事があっても、どこの国にも決定的な変化は起こせないのが現状でしょう。経済の結びつきの強さが、最終的に政治的対立の妥協点を結んでいると言えます。

こうしたリスクを鑑みても、今すぐに中国依存からの脱却とは行かないでしょう。まずは、中国と上手に付き合い、Win-Winの関係を構築していくことが、現状における最適の手段だと言えるのではないでしょうか?

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執筆:BILLIKEN

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