経済成長が著しい中国ですが、国内では少子高齢化の波が押し寄せています。世界的な経済大国の中国ですが、貧富の差などから介護サービスはまだ充実しているとは言えません。
この記事では、中国滞在経験のあるライターBILLIKENが、これからの中国における介護サービスの展開について考察しています。
経済大国の光と影
中国が抱える介護問題。日本は、ロボットと組み合わせた介護と併せ、ヘルスケアなどの観点から中国を支援する見通しだという旨を経済産業省が発表しました。日中共通の課題の解決として、中国経済との連携を図る狙いが見て取れます。しかし、中国の介護問題は複雑で、需要はあるものの資金繰りの問題や、社会課題の山積から進捗の滞りを見せています。中国が世界第二位の経済圏を持っていることは周知の事実ですが、温度差の激しさもあり、貧困層における課題も山積みです。
中国の富裕層は人口のほんの一部であり、ほとんどの人が毎日の労働の中、低賃金に悩み、高齢者の介護問題を抱えています。そのため、日本から質の高い介護サービスで中国に参入しようと考えても、そのシェアが一部の富裕層に留まり、市場の拡大には程遠くなってしまうのです。現在の中国社会では、こうした格差をいまだに是正できない状況です。そのため、日本はまず社会の改善に向けた協力態勢のもとに、介護における産業の浸透を優先する必要があるでしょう。
ビジネスの習熟期こそが市場参入のチャンスに
日本企業が、そのまま中国への介護ビジネスに参入しても、貧富格差が大きい中国では、人々の不安を助長する結果にもなりかねません。労働者層への介護技術の展開は、中国社会全体への施策と同期する必要があるでしょう。中国としての経済の目標は、日本とパートナーとしての協力関係を築くことが重要になります。これは、中国の産業を奪うという意味ではなく、高齢者を助ける中国人の心をサポートする立場からの市場参入だと言えます。
経済の成長率が著しい中国ですが、中国の介護ビジネスは厳しい状況にあるのが現状です。そのため、まずは中国の内部で、介護に対する知見を広げていく必要性があるでしょう。中国人の介護は中国人が行うという基本理念の元、将来に期待される産業の礎を築くことが先決です。中国国内で介護ビジネスが習熟したときこそが、日本の市場参入の飛躍になるのではないでしょうか?
執筆:BILLIKEN
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